個人的にはSIerから事業会社に転職することを進める理由
日本のIT業界では、システムインテグレーター(SIer)に勤める人々が多く存在します。しかし、私個人の意見として、SIerで働いている方々には事業会社への転職を検討することを強くお勧めします。ここではその理由を3つの観点から説明します。
SIerは疲弊する
SIerで働くエンジニアやプロジェクトマネージャーは、しばしば過酷な労働環境に直面します。その一因として、下請け構造が挙げられます。SIerは多重請負構造の中で、元請け企業やクライアントからの厳しい要求を受ける立場にあります。その結果、現場では短納期のプロジェクトや不明確な要件変更が頻繁に発生し、従業員に過度なプレッシャーがかかることがあります。私はこの構造の末端にいましたので、今思い出すだけで吐き気をもよおすほどつらい気持ちになります。
また、SIerでは新しい技術に触れる機会が限られることも問題です。多くのSIerではクライアントの既存システムの運用や保守に重点が置かれるため、革新的な技術やトレンドに取り組む余裕が少なくなりがちです。そのため、エンジニアとしての成長機会を感じにくい状況に陥ることがあります。もちろん、これは案件によるので一概には言えません。すごく成長できる案件に恵まれることもありますがすべては運の要素が大きいです。
事業会社に入ることで幅が広がる
一方で、事業会社への転職は新たな可能性を広げてくれます。事業会社は自社の製品やサービスを直接提供しており、その開発や運用に携わることができます。この環境では、単なる技術者としてではなく、ビジネス全体を理解し、価値を生み出す経験を積むことが可能です。
また、事業会社ではエンドユーザーとの距離が近いため、自分の仕事の成果がどのように顧客に影響を与えているのかを実感しやすいです。これにより、仕事へのモチベーションが高まり、達成感を得やすくなります。
さらに、事業会社は新技術の導入や社内システムの改善に積極的である場合が多いです。これにより、エンジニアとしてのスキルを最新のものにアップデートし続けることができます。
コンサルへの道も出てくる
事業会社での経験を積むことで、将来的にコンサルタントへのキャリアパスが開かれる可能性もあります。事業会社ではビジネスプロセス全体を深く理解する機会があり、それがコンサルタントとしての市場価値を高める要因となります。
SIerでの経験は確かにシステム開発やプロジェクト管理に特化していますが、コンサルタントとして求められるのは技術だけでなく、ビジネスの課題を解決する力です。事業会社での経験は、ビジネスと技術の橋渡しをするスキルを養う場として最適です。
また、事業会社での経験はネットワークの拡大にも寄与します。他業種のプロフェッショナルや外部パートナーと接点を持つことで、多様な視点を得られます。このネットワークは、コンサルタントとしての独立やキャリアアップの際に大きな資産となるでしょう。
結論
SIerでの経験は貴重ですが、長期的なキャリア形成を考えると事業会社への転職を検討する価値があります。事業会社では、エンジニアとしてのスキルだけでなく、ビジネス全体を理解する力や新しいキャリアの可能性を広げる経験が得られます。また、その経験を活かして、コンサルタントや他のキャリアパスに挑戦する道も開かれるでしょう。
今の環境に満足していないのであれば、ぜひ事業会社への転職を一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
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