社内SEとして働いていて、ある日突然上司から言われたんです。
「DX推進、うちでも進めていきたいから、ちょっとやってみてよ」って。
…いや、ちょっとって何!?
最初は正直、軽くパニックでした。
DX(デジタルトランスフォーメーション)って最近よく聞くし、言葉だけは知ってたけど、具体的に何から始めたらいいの?って。
本当に、何にもわからないところからのスタートでした。
でも、それでも進めなきゃいけないのが社内SEの宿命というか…役割なんですよね。
今回は、そんな私が試行錯誤しながらDX推進を進めてきた実体験と、実際にやってみて「ここは気をつけた方がいいよ!」と思ったことをまとめてみました。
とにかく最初が一番つらい!「テーマ」も「イメージ」もない状態での迷走
当時の私は、「DXって何かを便利にすればいいんでしょ?」くらいの認識しかなくて。
でも、いざプロジェクトとして動かそうと思うと、関係者も多いし、業務も複雑だし、どこから手をつけたらいいか全然見えなかったんです。
いきなりあれもこれもやろうとした結果、方向性がバラバラになってしまって、
「結局このプロジェクトって何がゴールなの?」って、現場の人たちも困惑してしまって…。
この経験から強く感じたのが、「まず“テーマ”と“イメージ”をしっかり持つことの大切さ」。
「何を変えたいのか?」「どうなったら成功と言えるのか?」が曖昧なままだと、関係者もついてこられなくなるし、自分もどんどん迷走してしまいます。
だから私は、それ以降のプロジェクトでは必ず「目指す未来像」を描いてから進めるようにしています。
それだけでも、驚くほどプロジェクトがスムーズに動くようになりました。
【実践1】紙文化からの卒業!…が、意外と敵は「紙」じゃなかった
最初に挑戦したのはペーパーレス化。
「紙をなくしてデジタルにしよう!」って言うと、なんだか簡単そうに聞こえるかもしれませんが、実際はそんなに甘くなかったです。
特に大変だったのが、長年紙でやってきた現場の方々の“慣れ”との戦い。
「紙のほうが見やすいから」「デジタルってよくわからないし怖い」といった声が多くて、なかなか前に進めませんでした。
私自身も「なんでこんなに抵抗されるの…?」って落ち込むこともあって、
「もしかして私、無理やりなことしてるのかな…」と悩んだこともありました。
でも、根気よく説明会を開いて、「ここがラクになりますよ」「検索も一発でできますよ」って、メリットを丁寧に伝えていったら、少しずつ受け入れてくれる人が増えてきたんです。
最終的には、紙の資料をスキャンしてBOXに保存、クラウド上で申請も完結するようになって、
「これなら簡単でいいね!」って喜んでもらえたときは、本当にホッとしました。
【実践2】電話をスマホに置き換え!でも「新しい=楽」じゃない現実も
次に取り組んだのが、社内の固定電話をスマホにリプレースするプロジェクト。
当時はまだPHSやガラケーが現役で、「令和だよ…」とツッコミたくなるような状況でした。
一見、「スマホにすればみんな便利でしょ?」って思うかもしれませんが、
実際には「会社からスマホを渡されること」に戸惑いを感じる人もいて。
「プライベートと混ざらないか不安」「常に連絡が取れるって、逆にしんどい」といった声も多くて、想像以上に調整が大変でした。
VoIPでの通話テストもうまくいかない日が続いて、「もう全部やめたい!」って思ったことも一度や二度じゃありません。
でも、「外出先でもちゃんとつながる」「オフィスに縛られなくなる」っていう未来のイメージをしっかり共有しながら進めたら、
少しずつ不安の声が減って、「これは便利だね」っていう意見も出てくるようになりました。
コストも削減できて、導入後は「こんなに自由に働けるとは思わなかった」って声をもらえたのが、本当に救いでした。
【実践3】有線LANを無線に!…でもセキュリティとにらめっこ
「オフィスの自由度を高めたい!」と思って、有線LANを無線LANに変えるプロジェクトも実施しました。
でもこれ、実はすっごく地味にしんどかった…。
一番の壁はセキュリティ対策。
ただ無線にするだけじゃ、情報漏洩のリスクも上がるので、IT部門としては慎重にならざるを得ません。
さらに、「ネットが遅くなるんじゃ?」という社員の不安や、ルーター設置場所の調整、
電波干渉による不具合の発生など、トラブルも続出しました。
「これ、やらない方が良かったのかな…」って思う日もありましたが、
最終的にはネット環境の改善や働きやすさにつながり、評価してもらえたのはやっぱりうれしかったです。
【実践4】メールからチャットへ!「慣れ」が最大の敵だった…
「メールって遅いし、情報が埋もれがちだからチャットに変えよう!」
そう思ってチャット導入に踏み切ったものの、ここでも苦労の連続でした。
特にベテラン層からの抵抗が大きくて、
「また新しいこと?」「そんなの若い子しか使わないよ」と言われたときは、心が折れかけました。
でも、プロジェクト単位でチャンネルを作って、「こう使えば便利ですよ!」と社内で研修を開いたり、
日々のやり取りの中で少しずつ活用してもらうように誘導したり。
導入後は、「レスが早くなった」「ちょっとした確認がしやすくなった」と喜ばれて、
情報の検索性も格段に上がったのが実感できました。
まとめ:DXは“人”に向き合うことの連続
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
もしかすると、思っていたより泥くさくて、トラブルだらけに感じたかもしれません。
でも、これが本当にリアルなDX推進の姿なんです。
ただシステムを入れればうまくいくわけじゃないし、むしろ「人の感情」とどう向き合うかが一番大事。
だからこそ私は、どのプロジェクトでも「社員にとって何が一番ラクか?」を最優先に考えるようにしています。
テーマとイメージを明確に持ちつつ、現場の声にちゃんと耳を傾ける。
これが、DXを成功に導くための一番のポイントだと、今では胸を張って言えます。
これからも、「もっとラクに、もっと楽しく働ける方法」を見つけるために、
ひとつひとつ丁寧に、チャレンジを続けていきたいです。
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